2022年04月25日

モルモット|心臓病|肺炎|呼吸困難

モルモットのもさちゃんは、急に呼吸が苦しくなりしんどそうとのことで病院に来てくれました。

確かに息苦しくなっており、体全体を使って呼吸をしていました。

もさちゃんはまだ年齢が若く、2歳いかない位です。

症状の原因がわからなかったので、まずはレントゲンを撮ってみることとなりました。

レントゲンを撮ってみると、心臓の重度拡大が認められました。

写真はこちらになります。

これは横から見たもさちゃんのレントゲンですが、中心の緑と紫のラインでサイズを測定して要るもの円形のものが心臓です。

心臓が大きく膨れ上がって上がっており、心臓の背側側にある黒いラインの気道をかなり圧迫しています。

これでは呼吸がうまくできず苦しい状態になってしまうとともに、心臓自体もうまく収縮することができないのでかなり緊急性が高く、危ない状態です。

なぜ心臓がここまで大きくなっているか、エコーで確認してみると、心臓の周りに液体が溜まっていました。

心嚢水の貯留という状態です。

犬や猫の場合は心タンポナーデと言う状態で、これも同様に緊急性のある状態で、通常は心嚢水の穿刺という、心臓の周りにたまっている液体を針を外から突いて抜いていくのですが、モルモットのサイズと、痛みに敏感なモルモットは注射を刺した場合かなり激しく暴れてしまうこともあり、心嚢水の穿刺はすることができませんでした。

なので、酸素を吸っていきながら、内科療法を行っていき改善があるかどうかを試みて行きました。

内科治療はピモベンタン0.3mg/kg、べナゼプリル0.25mg/kg、ルプラック0.01mg/kg、アムロジピン0.15mg/kgの内服薬と、

フロセミド3mg/kgの注射をメインで行いながら、酸素を吸入していきながら改善があるか見ていきました。

酸素吸入の状態で入院していきながら、呼吸の方が改善していくかどうかを見ていきました。

かなり厳しい状態でしたが少しずつ改善していき四日間の入院生活の中で心臓のほうの液体の貯留が少しずつマシになってきて呼吸もしやすくなってきました。

(入院中の治療、皮下点滴朝晩、ビタミン剤、抗生剤、内服薬、強制給仕)

酸素室を出ても本人の状態が大きく変化することがないレベルになったので、オーナーと相談し帰宅することとなりました。

なかなか食欲が戻らなかったことも含めて、オーナーさんが頑張って強制給餌を行ってくれてました。

しかし10日後位に急激に呼吸の状態が悪化し、レントゲンで確認していくと肺に影が認められました。

心臓自体は正常ぐらい小さくなっており問題なしと判断しています。

結果的にその2日以内に死亡してしまうこととなり、オーナーさんと相談し死後解剖を行うこととなりました。

解剖結果としては、肺に感染が認められており、肺に膿瘍が形成されていました。

もともと、口唇炎として基礎疾患を持っていたので状態が悪くなったことも含めてその菌が肺に蔓延してしまったと考えられます。

書籍やインターネットで確認すると、モルモットの心臓病に関してはかなり予後が悪いことが多いと記載されており、治療の過程で死亡することが多いとの事でした。

しかし、今回少なからずですが心臓の状態の改善が見られたことも含めて、今後資料データの蓄積により、より良い治療や、基本的な治療ベースがされていく一助となれば嬉しいです。