サバンナモニターのちまきちゃんは、舌が戻らずにご飯が食べれないとのことで、他院にて口内炎疑いでにて治療していました。
セカンドオピニオンとして来院されました。
体重が3kg近くあるのでなかなか口内を見せてくれませんでしたが、なんとか動画で見れたのがこちらです。
舌先が浮腫んでおり、舌の付け根が白色化しているのがかろうじて分かります。白色化は組織の壊死の可能性が高いです。
この時の判断としては第一として口内炎でした。
なので、口内炎であろうとなかろうと、口内に炎症や壊死が見られるかもしれないので、ベストな治療を行う前の準備として薬剤感受性試験行うことにしました。
検査結果としては薬剤に耐性が見られる菌が複数見られたので、効果のある薬をまず投与することにしました。
クロロマイセチン20mg/kg BID ミノマイシン6mg/kg BID プロナミドBID
2週間ほど投与しましたが、特に舌と状態の改善が見られなかった。
オーナーと相談し、麻酔下にて舌の状態の正確な確認と、2ヶ月近く絶食状態が続いていたので、経咽頭チューブの設置を行うこととしました。舌の状態次第ではそのまま断舌も視野に入れていたのでかなり勇気のいる決断ですが、長い絶食状態から決断せざるを得ませんでした。
麻酔(アルファキサン6mg/kg・ミダゾラム1mg/kg・ブトルファノール0.3mg/kg・イソフルラン2・呼吸回数5回/分・肺吸気圧6)
麻酔導入まで30分ほどかかりましたが安定し、舌の確認に入ります。
舌の根っこに毛が絡まって、締め付けているのが分かりました。
なぜ、トカゲに毛が…?一瞬パニックでしたが、オーナー様が女性だったのですが、その毛とも異なります。これはおそらく食事のマウスの毛であろうと判断しました。
それを取り除くとともに、絞傷により壊死した部分を除去することとしました。
かなりボロボロですが、舌の芯の部分はかろうじて残っていると判断し、断舌はしない決断としました。
もし、悪化があれば再度麻酔をかけるリスクはありましたが、舌がないと今後の食事に影響すると思われるからです。
その後、咽頭にチューブを繋ぐこととなりました。ご飯と薬をそこから入れるためです。
麻酔後のちまきちゃんです。
チューブはサイズ16Fを使用しました。
手術に2時間と覚醒に2時間かかりましたが、なんとか終わりました。
その後はチューブから流動食とお水を入れてもらい、舌の変化がどう見られていくかを見ていきました。
2ヶ月後。
チューブが思ったよりもってくれていたので、食事も取れて安定していました。
2ヶ月するとはみ出っぱなしだった舌が、ある日急に通常通りの出し入れができるようになりました。
これには私もびっくりです。さらに白身魚を自分から食べるようになりました。
なので、状態の確認のためと、チューブを入れている穴の調節のため麻酔をかけることとしました。
舌の状態も良く。完治したと判断しました。なので、チューブを外し、新たに傷を作って首の穴を塞ぎました。
動物の回復力に感動しました。本当にすごいですね。感動します。
覚醒も問題なく、安定しました。
後は今回の処置の後にしっかりご飯を食べて、飲水ができれば完治となります。
ちまきちゃんの力強さでは問題ないでしょう。
前の病院から考えると実に5ヶ月の闘病生活お疲れ様でした。