2021年09月15日

猫・傷・感染・創傷管理

ゴンちゃんは子猫で拾われた子です。

右頬に大きなカサブタの塊がついており、その下が膿んでいるのがみて取れました。

その写真がこちら

注射麻酔(メデトミジン・ミダゾラム)を行い、眠ってもらった後に

洗浄し、消毒を行い、不要組織のデブリードを行なったのがこちら。

内部まで膿んでおり、目の裏側の組織が透けて見えています。真上の写真は頬の歯槽骨の摘出を行なっている所です。

断片となっている歯槽骨は感染の原因となることがあるのでできる限り摘出を行います。

その後、何度も消毒と洗浄を繰り返し、可能な限りの肉の縫合を行いました。

治療としては抗生剤と飲み薬と塗り薬を行い、なるべく傷の湿潤環境をキープしていきながら、肉と皮膚の再生を待つことにしました。

オーナー様と相談し、家での消毒や、塗り薬が困難とのことで入院することとなりました。

【処置後の写真】

【3日後の写真】

湿潤環境を保持することで肉の再生が促され表面の凹凸が少なくなってきました。

今回使用した塗り薬は眼の付近ということもあり、オフロキサシン眼軟膏と白色ワセリンを1日2回行いました。

【9日後の写真】

傷はかなり塞がりつつなってきたのですが、右眼下側に蓄膿が見られたので、再度麻酔を行い切開して洗浄を行いました。

すると内側から骨片が見つかり、それが原因の蓄膿と判断しました。初期に見つけられなかった私の落ち度になります。

その他感染巣がないかチェックし洗浄を日々行うとともに、薬剤感受性試験を行い、ベストな抗生剤の選択を模索しました。

【処置後の写真】

【11日後の写真】

傷がかなり縮小してきて、皮膚と肉の再生が促されてきています。

眼の裏側の組織もほとんど見えなくなりました。

これで内部の感染がなければ良好です。

傷自体は問題なく、本人も元気なので、費用的な所も加味して、ここで一度帰宅して管理してもらうこととしました。

【15日後の写真】

傷はかなり塞がり、見た目的にも安心できるようになりました。

眼の筋肉の損傷があり、斜視になると思われたのですが瞼が開いていき眼球の位置も問題ないように感じます。

【22日後の写真】

傷は塞がり、抜糸も行いましたが感染は確認されませんでした。良好です。

この時点で創傷に関しては完治したと判断しました。

 

【眼の経過の写真】

本人は入院の初期からご飯をしっかり食べて元気でした。

本人の生きる力もあり傷がしっかり治ったと思われます。

ゴンちゃん良かったですね!治療頑張ってくれてありがとう!