2021年04月26日

文鳥/甲状腺機能低下症/脱毛/脂肪

鼻から眼の周りの脱毛を主訴で来院されました.

文鳥のピーちゃんです.2歳7ヶ月です.①頭部の脱毛はホルモン的なところや、②真菌(カビ)の感染、③鼻炎からの鼻水、などからくることが多いとされていますが、

③鼻炎の脱毛は下顎までくることがないので、否定的

②黄白色のカサブタがつくことが多いのと、頭頂部〜後頭部が後発部位

さらに、この子は腹部と脇腹に脂肪の貯留が見られたこと

文鳥の体重の平均はおおよそ24g前後ですが、ピーちゃんは32gもあったことから、暫定的に甲状腺機能低下症と判断しました.

甲状腺機能低下症は

体の代謝を促進する甲状腺ホルモンが少なくなることで、脂肪の代謝が遅れたり、発毛が遅れたりすることが特徴的です.一般的に脱毛は左右対称です.

文鳥の場合は甲状腺ホルモンの元となるヨード不足が原因でなることが多いと言われ、その不足を補おうとし、甲状腺が過剰に腫大することもあります.その際、甲状腺腫と診断名が追加になり、呼吸器の圧迫から緊急を要することもあります.

確定診断には血液検査を必要としますが、体が小さいことと、情報がある程度そろっていることから

今回、ピーちゃんは念のため除外診断として真菌の検査を行うとともに、飲み薬よりヨードと甲状腺ホルモンの摂取を行うことより治療を行いました.

現在も治療継続中ですが、少しづつ発毛が見られてきたとオーナー様よりご報告がありました.

治療の反応も含め甲状腺機能低下症と判断しても良いでしょう.

ピーちゃん早く治るといいですね.